このゴールデンウィーク(5月4日)に京都市の岡崎公園近くにある〝みやこめっせ(京都市勧業館)〟で開催されていた「第42回春の古書大即売会」(主催:京都古書研究会)へ行ってきた。
京都を中心に大阪、奈良、三重などから約30の古書店が参加し、1900㎡(因みに小学校の体育館の平均面積は約700㎡)の会場スペースいっぱいに、古典・学術書・美術書・小説・雑誌・マンガなど様々なジャンルの古書が50万冊以上並ぶ、屋内で行われる即売会としては国内最大規模のものだ。
11時に会場に着き、入口近くの棚からローラー作戦のようにして見ていく。気が付くと、もう14時。昼ごはんを食べるため、出かける前にチェックしていた会場近くにある老舗の蕎麦屋へ行った。しかし、快晴のゴールデンウイークの観光地とあってか、この時間帯でも店の庭先には客待ちの行列ができていた。そこで、第二候補の蕎麦屋へ行くが、ここも、第一候補の店ほどではないが、数組の先客が並んでいた。
即売会の終了時間は16時半。午前中3時間掛けても、まだ3店舗分しか見ていない。蕎麦屋で食事をしていたら、見る時間が足りなくなるで、ワゴン車で販売していたオニギリを一個買って、近くのベンチで食べ、14時半に再び即売会の会場へ戻った。
午前中のように棚を一つ一つチェックしていたら、終了時間までに半分も見ることができない。筆者が求めているのは主に海外の古いミステリーなので、文庫本(文庫本の横にはポケミスも置かれていることが多い)だけに的を絞ってチェックすることにした。
この即売会の最大の欠点は会計システムである。それぞれの参加店舗で会計を済まさなければならないので、買おうかどうか迷っている本があっても、それを持ったまま他の店舗の棚を見て回ることができない。その場で買うか、一旦、保留にして全ての棚(但し、文庫本だけ)を見終わってから、やはり欲しい場合に、もう一度、この棚に戻って買うしかない。しかし、戻ってきたときには、往々にして既に売り切れているものだ。そうでなくても、広い会場内で、その本がどの棚にあったか正確に覚えておくのは難しいし、そもそも保留にしている本自体についても3~4冊なら記憶していられるが、それ以上になるとあやしくなる。
その点、かつて関西古書研究会が大阪市・京橋にあるツイン21のアトリウム(600㎡)で開催していた〝ツイン21古本フェア〟は、一か所に総合的な会計レジがあったので便利だった。迷っている本があれば、とりあえずプラスチックの買い物カゴ(会場内に用意されていた)に入れて、他の棚を見て回り、会計する前にカゴの中の本を再検討。本当に欲しいもの以外は元の棚に戻してから会計すればよかった。
本の一冊一冊に店舗名と価格が記された栞のような値札を挟み、レジで回収した値札を店舗ごとに分けて売上を分配するなど、個別の店舗ごとで会計をする方法より、主催者や参加店舗にとって手間がかかることは確かである。しかし、目ぼしい本があったら、とりあえずカゴに入れて会場内を見て回り、後でカゴの中から本当に欲しい本を絞ることも、筆者にとっては、古書即売会の愉しみの一つである。
京都古書研究会が夏に下鴨神社、秋に知恩寺で開催する古書即売会は、屋外の境内で店舗ごとにテントを張って行われるものなので、それぞれの店舗ごとで会計をするのは納得がいく。しかし、屋内のワンフロア―で開催される、みやこめっせでの即売会では、何とか統一したレジの導入を検討してほしいものだ。
結局、この日は島木健作の『赤蛙』(新潮文庫・復刊版)、フランシス・リックの『危険な道づれ』(ハヤカワ・ポケミス)、スタンリイ・エリンの『九時から五時までの男』(ハヤカワ文庫)の三冊を買い、4時頃に会場を後にした。