先日、職場で保健師による健康講座を聴く機会があった。テーマはVDT症候群(パソコンなどのディスプレイを長時間使用し続けることにより生じる目や身体などの不調)。話しの中で、筆者が特に興味を惹いたのは、保健師が近視のメカニズムに関連して示した、ある写真である。
それはマサチューセッツ工科大学のオード・オリーヴァ博士らを中心とした研究グループが作成した、ぼやけたモンローの写真と、くっきりしたアインシュタインの写真を合成した「ハイブリッド・イメージ」と呼ばれる画像だ。
視力のよい人は、写真の細かな情報を脳が読み取ることができるため、シワやヒゲなどを認識し、アインシュタインに見える。一方、視力の悪い人は、細かな情報を読み取ることができず、目、口、鼻などの全体の大まかなイメージで認識してしまうため、モンローに見えるというのだ。また、視力のよい人でも、離れてこの写真を見ると、細かな情報を脳が読み取ることができなくなるため、モンローに見えてしまう。ちなみに筆者は老眼なので、普通に見る距離ではアインシュタインだが、近づくと画像がぼやけモンローに見えた。
ところで、マリリン・モンローとアインシュタインには、真偽は定かでないが、こんな逸話がある。
モンローがあるパーティーの席で、アインシュタインの隣に座り、彼の耳元でささやいた。
「私の外見(美貌)とあなたの頭脳なら、生まれた子は完璧な子になるわ!」
すると、アインシュタインは笑顔で返事した。
「しかし、その子が私の外見であなたの頭脳を持っていたら、どうする?」
モンローとアインシュタインとでは、〝見えるもの〟が違っていたのだろうか。