インフルエンサー

 先週、二つの新聞記事に目が留まりました。

 一つは、香港の「自由」のシンボルだった蘋果日報(ひんかにっぽう)の敏腕記者へ中国政府の情報機関関係者が接触してきて、中国本土で暮らす彼の家族の身柄のことを暗にほのめかせて、「『蘋果日報』の記者たちの名前、電話番号、趣味、好きな食べ物・飲み物を教えろ」と迫ってきたという記事です。(1月13日付、産経新聞)

 もう一つは、ロンドン市内の女性弁護士が、中国共産党の統一戦線工作部と連携して、多額の献金をもとに英国の有力な下院議員らに近づき、中国共産党を支持する言動の強要や、人権問題の批判の封じ込めを謀っていると、МI5(英情報局保安部)が警告しているという記事です。(1月15日付、朝日新聞)

 新聞記者と政治家、共に自らの発する情報や言動が大衆に対して大きな影響力を持つインフルエンサーです。情報機関はそこに目を付け、自国が有利に運ぶようインフルエンサーを通じて情報操作を行おうとします。

 しかしながら、昨今の大衆、特に若者は新聞やテレビではなく、インターネットを通じて情報収集する傾向にあります。アクセス数の多いサイトや再生回数が多いYouTubeは、若者に絶大な影響力を持っています。当然ながら、情報機関もそれに気づいているはずで、今後は人気サイトの管理人やユーチューバーに対して情報機関が接触してくるかもしれません。

 本サイト「スパイ小説の世界」も、情報機関が接触してくるほど(?)、アクセス数か増えればよいのですが…。