最近、二つの海外の刑事ドラマにハマっている。
一つはNHKで毎週日曜日午後11時から放送の『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』)。
自閉症だが、それゆえの几帳面さ、繊細さ、集中力、抜群の記憶力と論理的思考によって、犯罪資料局の膨大な資料の中かから関係する資料を探し出し、事件の謎を解くアストリッド。一方、少々がさつなところもあるが、おおらかで思いやりがあり、正義感旺盛でついつい警察のルールを逸脱しがちな猪突猛進型のラファエル。正反対の二人がお互いの足りない部分を補い協力し合いながら事件を解決していくフランスミステリーだ。
アストリッドを演じるサラ・モーテンセンが自閉症を患っている人の特徴(視点の定まらない目、集中するとき指を動かす動作、どこか危なげな所作など)をよく捉えている。
このドラマは、主役の二人だけでなく、脇を固める人物たちも魅力的だ。ラファエルにひそかに思いを寄せているニコラ警部。いつもアストリッドに自分の見落としを指摘されるのが小癪だが、彼女の優れた能力を認めている監察医のフルニエ。いつも勝手な行動をするラファエルに手を焼いている上司のバシェール警視正など、それぞれ個性があって存在感がある。
もう一つのハマっている刑事ドラマは、テレビ大阪で毎週金曜日午後12時45分から放送の『刑事モース ~オックスフォード事件簿~』
イギリスではシャーロック・ホームズを凌ぐほどの人気を誇る刑事ドラマ『主任警部モース』。彼の若かりし日々を描いたのがオックスフォード事件簿シリーズだ。
オックスフォード大学で古典文学を学んだモースは成績優秀な奨学生だったが、失恋で大学を中退。その後、陸軍に入隊するが肌に合わず、警察官となってオックスフォードのカーシャル・ニュータウン署に配属された。該博な知識と鋭い観察力、天才的な閃きによって事件の謎を解いていく。しかし一方で妥協知らずで、こだわりが強いため、周りと摩擦を引き起こすこともしばしば。モースの能力を買っている上司のサーズデイ警部補や同僚たちとの関係のなかで、人間的に成長していくところも、このドラマの魅力である。
モースを演じるショーン・エヴァンスの知的で繊細な感じが、主人公のイメージにピッタリだ。
舞台は1960年代後半のオックスフォード。落ち着いた街のたたずまいがいかにもイギリス的だ。また車や女性の化粧服装に当時が偲ばれる。特に女性の化粧や服装は、筆者が小学生の頃に見た外国の女優やモデルのそれであり、どことなく懐かしい。
海外の刑事ドラマは、これまで色々と放送されてきたが、『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』と『刑事モース~オックスフォード事件簿~』の二つは、〝謎解き〟が楽しめるドラマだ。筆者にとっては、1970年代に放送されていた「刑事コロンボ」シリーズ以来、久々に毎週の放送が待ち遠しい刑事ドラマである。